徳島県は江戸時代、藍産業で栄えた土地です。
徳島藩は阿波、淡路2カ国で25万7000石の大藩でしたが、実収入はその倍ぐらいあったといわれています。藍の収益がもたらしたものです。
徳島の藍は阿波藍と呼ばれ、吉野川流域で栽培されていました。それから染料を取り出して全国に出荷していたのです。藍色という言葉があるように、藍染は日本人に昔からなじみがあります。
徳島観光に。藍住町歴史館藍の館
江戸時代で最も目にした色は藍だったといわれています。藍の館は藍住町で藍の豪商だった奥村家の住宅が寄贈され、歴史観光施設として1989年にオープンしました。
藍関係の民俗資料が展示されているほか、藍染作品、藍染に使用した道具類も並べられています。奥村家は江戸の元禄時代に創業した藍商人です。藍の館になっている母屋は文化年間の1805年に建てられました。徳島だけでなく、江戸にも店を出し、関東方面へ藍を出荷していました。まさに徳島の藍の歴史がひと目でわかる施設なのです。
観光に出かけて最も楽しいのは藍染め体験です。
指導員の指導を受けながら、昔ながらの藍汁を使ってハンカチやストール、スカーフを染めることができるのです。時間はざっと20分ほど。皇太子さまご夫妻も徳島に来た際、体験され、喜ばれていました。手作りハンカチやスカーフのお土産なら、友人に喜ばれること受け合いです。
ちょっと手は藍色になって汚れてしまいますが、初心者の私でも簡単にハンカチを染めることができました。今も製作中の写真といっしょにリビングに飾っていますが、自慢の一品です。
8月は徳島県各地で名物の阿波踊りが催されます。阿波踊りは夜の観光ですから、昼間の空いた時間に訪ねるとしたら、藍の館はぴったり。
徳島市や鳴門市から車で30分ほどの距離にあり、近くを流れる四国一の大河・吉野川で水と戯れることもできます。吉野川は河口で川幅が1キロもあり、夏場はウインドサーフィンやジェットスキーに絶好の場所。野鳥や絶滅危惧種のカニが生息する干潟も近くにありますから、自然観察にも最適。藍の館を中心にいろいろな場所を巡ることができるのも観光客にうれしいところです。