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江戸情緒が残る四国のうだつの町並み

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徳島県は阿波国と呼ばれた江戸時代、藍の産地として栄えました。吉野川流域には藍畑が並び、城下町の徳島まで藍を積み出していたのが、吉野川中流にある美馬市脇町です。その脇町の南町通りには一時、100を超す藍商人が店を構えていました。当時の藍商人は大阪で大金持ちの代名詞にされるほど豊かで、店構えも豪勢でした。そんな藍商人たちが家運隆盛を顕示する象徴として店の屋根に掲げたのがうだつです。

四国のうだつの町並み

うだつは漢字で書くと「卯建」となります。隣家との間に設けられた壁のような構造物で、防火の役割も持っています。これが商家の財力の証とされ、各商家が競い合うようにして設けたのです。ちなみに「うだつが上がらない」という言葉は、ここから来ています。南町通りは別名「うだつの町並み」と呼ばれ、約400メートルにわたってうだつを持つ商家が並んでいます。最も古いものは江戸中期の建物で、築250年も経っています。

商家の中で吉田家住宅は中も見学できますから、歴史の勉強にもおすすめ。予約すれば地元のボランティアが観光案内もしてくれます。うだつがある町並みは昔、各地にありましたが、都市開発や戦災で次々に失われてしまいました。これだけまとまった数が残っているのは珍しく、貴重な江戸時代の歴史遺産といえるでしょう。

南町通りのすぐそばにかつての船着場があります。各地から集められた藍を商人たちがここから船に乗せて徳島まで吉野川を下っていきました。田舎ののんびりした雰囲気の中に残る江戸時代の繁栄の跡は、歴史ファンならきっと楽しめると感じました。

近くには1996年の松竹映画「虹をつかむ男」(西田敏行主演、山田洋次監督)のロケ地となった脇町劇場・オデオン座があります。もとは昭和初期に建てられた芝居小屋ですが、長く映画館として利用されてきました。老朽化により閉館したあとは、市の文化財として保存され、観光客が中を見学できるようになりました。昭和のノスタルジーを感じるにもぴったりの場所です。

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