徳島県鳴門市大麻町のドイツ村公園に行ってきました。
この場所は第1次世界大戦直後の1917年、ドイツ兵を収容する板東俘虜収容所があった場所です。第1次世界大戦で日本は連合国側に立って参戦し、ドイツと戦いました。
当時、ドイツは中国の青島やマリアナ諸島などアジア、西太平洋に租借地や植民地を持っており、そこで日本軍に敗れた兵士が収容されたのです。
板東俘虜収容所跡とは
収容所といっても過酷なものではなく、兵士たちは許可を得れば自由な活動ができました。
所内でクラシック音楽の演奏をする者もいて、公園の入口には「ベートーベン第9日本初演の地」という牌が建てられています。
近くの住民にパンの焼き方を教えたのもドイツ兵でした。市内にはドイツ伝統のパンを焼く名店があるそうです。優れた建築技術を活かして橋もかけました。その橋は石造りで「ドイツ橋」と呼ばれ、今も近くの神社境内に保存されています。
2006年にはこうした鳴門の人とドイツ兵の交流が「バルトの楽園」として映画化されました。主役の所長を演じたのは、マツケンサンバの松平健さんです。覚えている人もいるでしょう。当時の木造の兵舎は近くにある道の駅・第九の里で保存されていました。収容所を記念して建てられた市立ドイツ館では、収容所の様子や住民との交流が当時の資料とともに展示されています。最近まで映画のロケセットが「阿波大正浪漫 バルトの庭」の名で展示されていましたが、今は閉園となり、見ることができませんでした。これは少し残念です。
出身地なのにこんな歴史があることは知りませんでした。ちょっと勉強になり、異国ロマンも味わえる楽しい場所です。近くには鳴門海峡の渦潮や陶板で世界の名画を再現した大塚国際美術館、陶芸体験ができる大谷焼の里などいろんな観光地があります。丸1日遊べる場所ですから、歴史ファン以外の方にもおすすめです。